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嫌われ者?「セイタカアワダチソウ」

秋が深まり、ススキが穂を出し始める頃、空き地や河川敷に「セイタカアワダチソウ」の黄色い花が目に付くようになります。10月に入り、私のお散歩カメラコースの浅川河川敷にも、その鮮やかな黄色い花が咲き始めました。

この「セイタカアワダチソウ」、昭和の時代に各地で大繁殖して、社会問題となった時期があります。家庭排水や工業廃水によって富栄養化した河川敷や、コメの減反政策によって出現した休耕田、急速に進んだ宅地造成の際に出来た更地などに、人の背丈をはるかに上回るほどにセイタカアワダチソウが生えていたのを、私も記憶しています。まさに帰化植物(外来種)の代名詞のような存在でした。

最初に日本国内に入ってきたのは、明治時代に園芸用途であったそうですが、本格的に持ち込まれたのは、第二次世界大戦後のようです。他の多くの帰化植物と同様に北米からの軍需物資に付いていた種子が広まったものと考えられています。

アレロパシーが大繁殖の要因・・・?

ある植物が他の植物の生長を抑える物質を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりする効果のことをアロレパシーと言いますが、セイタカアワダチソウの場合は、地下茎から出るポリアセチレン化合物が他の植物の生育を抑制するというのが定説のようです。

セイタカアワダチソウの生息域はススキと競合しているようで、一時期はススキの居場所を奪ってしまった感じでしたが、最近はススキが勢力を取り戻しているところも多いようです。一説によれば、セイタカアワダチソウは根からアレロパシー物質を出し、ススキや他の植物の生育を阻害するが、侵出したアレロパシー物資は自身の種子の発芽をも阻害するため、最終的にはススキに負けるということです。

ただ、植物の遷移や競合はその生育環境(水分、土壌のミネラル分、気温、競合する植物同士の力関係、人間の活動との関わりなど)に微妙に左右されるようです。セイタカアワダチソウの場合も様々な要因が重なって、昭和時代の各地での大繁殖に繋がっていったのかと思います。最大の要因は、やはり人間の活動であると思います。

「花粉症の要因」は濡れ衣・・・?

平成の時代に入り、スギの花粉症など、アレルギーの症状に悩む人が増え、セイタカアワダチソウもその繁殖力の強さや「黄色い花」のイメージが「花粉」を連想させたようで、その花粉がアレルギーの要因ではないかと思われた時期がありました。これは同時期に帰化した、「風媒花」で同じ黄色い花で秋に花をつけるブタクサを、「虫媒花」であるセイタカアワダチソウと混同してしまったことにあるようです。最近ではブタクサはスギやヒノキに次ぐアレルギー要因として認知され、セイタカアワダチソウと混同されることは少なくなりましたが、やはり「セイタカアワダチソウ」イコール「厄介者」のイメージがどうしても付いて回るようです。

実は「有用植物」としての一面も・・・

①蜜源植物

「虫媒花」ということで、原産地の北米ではセイタカアワダチソウは蜜源植物として利用されています。アキノキリンソウ属の植物を総称して「ゴールデンロッド」と呼ばれているのですが、地域によってはセイタカアワダチソウそのものを指して「ゴールデンロッド」と呼んでいるところもあるようです。養蜂家にとっては重要な植物のようです。日本でも輸入品を扱っている店舗ではカナダ産の「ナチュロニー ゴールデンロッドハニー」はよく目にします。私はまだ食べたことがありませんが、濃厚で独特の風味があるようで、好みが分かれるようです。

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②ハーブ(薬草)

セイタカアワダチソウが開花する前のつぼみの状態のものを摘み取り、よく乾燥させたものを切り刻み、チーバックに入れてハーブティーとして飲用することができます。セイタカアワダチソウには様々なポリフェノールが含まれることが、最近の研究から明らかになってきています。(https://ir.kagoshima-u.ac.jp/?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=21&item_id=6837&item_no=1鹿児島大学リポジトリ セイタカアワダチソウのポリフェノール成分に関する研究)抗酸化作用やデトックス(解毒)作用が期待できるようです。元々は北米原産ですので、ネイティブアメリカンの人々は経験上様々な用途にセイタカアワダチソウを利用してきたようです。

③エッセンシャルオイル(精油)

セイタカアワダチソウの葉や茎からエッセンシャルオイル(精油)を留出することが出来ます。すでに内外問わず多種多様な商品があります。また、最近では個人でオリーブオイルにつぼみを浸してオリジナルオイルを自作する方も多いようです。

④入浴剤

これも、つぼみを摘み取って乾燥させたものを刻んで袋に入れて湯舟に入れると入浴剤になります。アトピーや乾燥肌に効果が期待できるようです。セイタカアワダチソウにはサポニンも含まれていて、「泡」も出てくるようです。https://pupu-koubou.com/the-bath-of-a-tall-goldenrod セイタカアワダチソウで入浴剤 風々工房 https://dailyportalz.jp/kiji/170919200695 セイタカアワダチソウで風呂が泡立つ デイリーポータル

⑤食用

私はまだ食したことはありませんが、セイタカアワダチソウの若芽の天ぷらは美味しいということです。キク科の植物ですので、春菊のような味なのでしょうか・・・。最近は雑草に関心を持つ人たちが増え、セイタカアワダチソウの料理法にいろいろチャレンジしている方も多いようです。パンの生地に混ぜてあんパンを作ると「ヨモギあんパン」と遜色ないそうです。

https://otokonakamura.com/seitaka/ セイタカアワダチソウを食べる オトコ中村の楽しい毎日 https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=339875 旨いセイタカアワダチソウ天麩羅

奥が深い雑草の世界

セイタカアワダチソウを始め、私のお散歩カメラコースの河川敷は、よく見れば雑草の宝庫。特に現状は外来種の天国のようです。ブタクサ、オオキンケイギク、ハルジオン、ヒメジョオン、オシロイバナ、シロツメクサ、ムラサキツメクサ、コバンソウ、アメリカオニアザミ、オオハンゴンソウ、アレチウリ、ハキダメギク、・・・。枚挙に暇がありません。そのすべてが人間の活動によってもたらされたもので、その後生存競争や遷移、気象変動、自然災害、新たな人間活動の介在によって現在の生態環境が成り立っているのかと思います。

最近は、雑草に関心を持つ人々が増え、それぞれの立場から今までの考え方にとらわれない自由な発想で様々な活動をされているようです。個人的な趣味の範囲でも楽しみながら雑草の利用方法にチャレンジしている人も多いようです。「雑草食」に興味を持つ人もこのご時世、増えているようです。ただ、実際に食するとなると、その生えている場所は本当に安全か気になります。空き地や河川敷は廃水や不法投棄も多く、有害物質や除草剤に注意しないといけません。最近はあまり報道されなくなりましたが、「放射線量」も気になります。まあ、常食することがなければ大丈夫かと思いますが、そのあたりは「自己責任」ということになるのでしょう。誤ったものを採取しないように注意することも大事です。https://tsumugite.jp/herb-seitaka/ 合同会社つむぎて/tsumugite LLC. セイタカアワダチソウ https://ameblo.jp/ichigo-ichie-puti/theme-10059371183.html 発酵と野草の学校

今後、進むであろう地球温暖化による気象変動によって植物の生態も変わっていくことが予想されます。日本固有の在来種が外来種によって駆逐されてしまうことは、種を保存する点でも重要だと思いますが、何よりもある一つの種が大繁殖することで、生態系のバランスが崩れてしまうことを防ぐことが人間に求められているのかと思います。「コロナ禍」も「大繁殖」してしまった人間に課せられた課題の一つなのかと思います。

参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%82%A2%E3%83%AF%E3%83%80%E3%83%81%E3%82%BD%E3%82%A6#cite_note-21 : フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』セイタカアワダチソウ

https://www.el-aura.com/goldenrod20160602/2/ 嫌われ者だった雑草、セイタカアワダチソウに秘められた多くの能力とは? TRINITY

:https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/index.html 外来種問題を考える 日本の外来種対策 環境省 自然環境局

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Yataka Nobuhiro
初めまして!! Yataka Nobuhiroです。ご訪問頂きありがとうございます。 昭和生まれの60代、横浜北部で生まれ育ち、30~40代は世田谷に移り、 40代後半から現在は八王子に暮らしています。 主に、写真現像の現場に関わってきましたが、撮影のスキルはと言うと ・・・です。 昨年の定年を機会に、ストックフォトサイトへの投稿を始めました。 その中で、「撮る」ことが新しい気付きや出会いに結び付くことを 改めて知りました。 このブログでは、そんな小さな発見を発信していけたらと思っています。 簡単に言うと私のモットーは「犬も歩けば棒に当たる」です。 それが「一期一会」になることを祈って・・・。 最近は「数打ちゃ当たる」になってしまっていますが・・・。 デジタル様様です。 よくある写真ばかりですが、何かのお役に立てれば幸いです。 どうぞ宜しくお願い致します。