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ボーっと生きてるんじゃないよ・・・。不思議な生き物「ナナフシ」の話

PENTAX K-70 SMC PENTAX -DA 1:2.8 35mm Macro Limited f/6.3 1/50秒 ISO-800 WB/自動 2020年6月 八王子・元八王子 画像サイズ変更済み

また虫ネタで済みません。どうしても私の限られた行動範囲、日ごろのお散歩カメラのコースの浅川沿いや、里山の小道で目にしたことを取り上げることが多くなってしまいます。虫ネタが苦手な方はスルーして下さいね。

さて、先日、いつもと同じように雨上がりの里山の小道を歩いていると、勢いを増してきた「クズ」の葉の上に一匹のナナフシがいるのが目に飛び込んできました。黄緑色の葛の葉に茶色の枝が乗っている感じ。「これって、ちょっと目立ち過ぎじゃない?」と思えるくらいです。ナナフシは漢字で書くと「七節」で、分類上ではバッタやカマキリに近い仲間の直翅上目の中のナナフシ目に属する昆虫です。文字通り、節が七つあるからではなく、「たくさん」の「節」がある枝のような「擬態」の虫です。

普通「擬態」というと周りの環境に溶け込んだり、他の危険な生き物に似た姿形をして捕食者から身を守る事であると私は思ってきました。ところが、この「ナナフシ」の擬態にはどうも違った意味があるのではないかと、この時目に飛び込んできたナナフシを見て感じました。「ナナフシ」について少し調べると、一層その感を強くしました。

ナナフシの「七不思議」

最初、この記事のタイトルを「ナナフシの七不思議」としようかと思っていたのですが、調べていくうちにすでにこのタイトルで記事を書かれいる方がいることを知りました。NHKの「ダーウィンが来た!」やTBSの「世界ふしぎ発見!」などにも出演されている探検昆虫学者の西田賢司さんが「ナショナルジオグラフィック」に書かれていた記事の中で「ナナフシの七不思議」に触れられていました。研究者の方と同じタイトルをつけて書くのは恐れ多くて出来ませんので、止めました。以下、西田賢司さんの記事を少し引用させて頂きます。

第33回 ナナフシの「七不思議」

世界中の昆虫好きと会っていくうちに、ナナフシは意外と人気者だということが判明してきた。ペットとして飼っている人もたくさんいるようだ。
 タレントのしょこたん(中川翔子さん)もナナフシが大好きだそうで、先日、東京で彼女と山田五郎さんのラジオ番組に出演したときには、その話題で盛り上がった。
 今回は最初にタイトル「ナナフシの七不思議」を思いついた(ダジャレです)。そこでナナフシにはあまり詳しくないのだけど、ちょっと勉強してぼくなりにナナフシの7つの「不思議」をまとめてみた。
1 たねにも擬態
ナナフシの多くは植物の枝に擬態している。それだけでもスゴイのだが、なんと卵は植物の種子のような形をしている(下の写真)。卵を地面にぽろぽろと産み落とすものが多い。地面に落ちた卵をアリが植物のたねと「間違えて」運んでいくこともある。
2 卵に比べて幼虫が長すぎる
卵から出てくる幼虫(成虫と同じ形をしている)の大きさが半端ではない。たった2~3ミリほどの卵の中から1センチ以上の幼虫が出てくる。こんな大きな幼虫がどんなふうに「折りたたまれて」卵の中に入っているのだろうか? 卵の20倍もの長さの幼虫が出てくるものもいるそうだ。
3 一生交尾
アニソモルファというナナフシは、成虫になってから死ぬまでずっと交尾し続けるそうだ。オスが死んでからも、メスがオスの死体を胴部の先からぶら下げて歩いている。「がぼん!」
4 枝と交尾
メキシコに生息するファノクレス・ホルニという種のオスは、とにかく交尾をしたがる。メス1匹に3匹のオスが同時に交尾していることもあったり、枯れ枝と交尾しているオスもいたりするそうだ。「どういうことやねん!」ちなみに、学名のホルニは、「性的に興奮状態の」を意味する。
5 オスなしで繁殖できる種も
単為生殖(メスが単独で子をつくること)を行うものがいる。その種数も少なくないそうだ。
6 標高5000メートルでも棲息
南米のアンデスの高山地帯に生息するモンティコモルファ・フラボリンバタという種は、標高5000メートルでも確認されている。植物がほとんど生えない雪と岩の狭間の極限の世界で一体何を食べているのかが気になる。
7 ナナフシは14節
「ナナフシ」だから7つの節があるのかと思いきや、そうではない。頭からおしりの先まで数えると、全部で14の節がある。「七」はたくさんという程度の意味らしいが、個人的にはジュウヨンフシよりナナフシの方が響きがよくて好きだ。
 ところで、コスタリカには100~150種ほど棲息していて、そのうちの半分にはまだ名前(学名)がついていない。新種だらけのナナフシの世界。そこには不思議の世界がまだまだ広がっているに違いない。


https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20120910/322537/?P=1NATIONAL GEOGRAPHIC

「一生交尾」「枝と交尾」には思わず笑ってしまいました。でも考えてみれば多くの敵、厳しい環境の中「そこに生きている」ということだけでも奇跡なのであって、虫たちの行動には命を繋ぐための強烈な必然性を感じます。

このナナフシ、基本的には両性生殖ですが、種類によっては単為生殖をするものもあります。昨年日本国内で12例目のオスが群馬県で発見され、ニュースとなりました。https://www.fnn.jp/articles/-/15132「超レア!オスのナナフシ発見も“オスはいらない!?”そのワケとは」

この私の記事のトップ画像も触覚が短いところから「ナナフシモドキ」だと思われます。(よく似たエダナナフシは触覚が長い)多分メスでしょう。このナナフシ、見ていると動くときは6本の足を使いますが、何か気配を感じると、前足2本を真っすぐに伸ばして「枝のポーズ」になります。下の写真は近くにいた別のナナフシが「枝のポーズ」に入ったところです。

PENTAX K-70 SMC PENTAX-DA 1:2.8 35mm Macro Limited f/6.3 1/60秒 ISO-800 WB/自動 2020年6月 八王子・元八王子 画像サイズ変更済み

本当は食べられるために「枝」になっている?

成虫になると、単為生殖をするナナフシモドキのメスの体内には「卵」が入っており、またその殻は固く、鳥などが食べても消化されずに糞とともに排泄されます。食べられると、生息域を拡大させる可能性もあるということです。幼虫までは「枝」になる擬態で生き延び、成虫になると「枝」をアピールして、捕食されることも想定しているような感じです。ナナフシの擬態には「両面性」があるように私には思えます。

鳥の繁殖期には巣作りに「枝」が必要です。「枝」ポーズをしたナナフシは巣作りには持って来いの材料には見えないでしょうか?「枝ポーズ」には「私を使って!!」「「食うなら食ってみろ!!」みたいな開き直りの声が聞こえてくるようです。最初、クズの葉にいた目立つナナフシを見てそれを感じました。ナナフシの卵も木の実のように出来ています。これも皆、命を繋ぐ戦略なのですね。↓下の写真のナナフシは5本足です。1本足りません。

PENTAX K-70 SMC PENTAX-DA 1:2.8 Macro Limited f/6.3 1/60秒 ISO-800 WB/自動 2020年6月 八王子・元八王子 画像サイズ変更済み

もう一つ特筆すべきは、ナナフシが「怪力」の持ち主であることです。ナナフシは敵に襲われた際、自らの脚を切り離す「自切」を行う種類が多いのですが、その脚力は半端ではなく、なんと自重の40倍もの重量を運搬することが可能だそうです。この点に着目したドイツのビーレフェルト大学の研究者は、ナナフシの動きをもとにした6脚ロボットを開発しています。https://www.gizmodo.jp/2015/01/1_205.htmlGIZMODO「ドイツの科学者達が作ったのは、悪夢のような1メートルの虫型歩行ロボット」

ナナフシの種類は3000種とも言われており、未発見の種類も多く存在する不思議のベールに包まれた生き物です。熱帯では50㎝にも達する巨大なナナフシもいるようです。また、この生き物を追いかける人たちも世界中にいるようで、http://www.phasmatodea.com/「ナナフシの世界」というディープなサイトも存在しています。

ナナフシの学名はPhasmatodeaで、思いがけなく現れるものという意味のギリシャ語に由来しているそうです。先日私の目の前に突然現れたナナフシは、様々な事を教えてくれました。感謝です。でも、ナナフシをペットとして飼っている人もいると聞きます。いずれはそのペットが野生化し、50㎝の「巨大ナナフシ」に散歩中、いきなり遭遇するなんて事も近い将来あるかも知れません。そんな日が来ない事を私は祈っています。

参考:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』ナナフシhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%8A%E3%83%95%E3%82%B7

:昆虫エクスプローラー ナナフシ目https://www.insects.jp/konbunnana.htm

:NATIONAL GEOGRAPHIC  動物大図鑑 ナナフシhttps://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141218/429087/

:NATIONAL GEOGRAPHIC コスタリカ昆虫中心生活 探検昆虫学者西田賢司https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20120910/322537/?P=1

:GIZMODO ドイツの科学者達が作ったのは、悪夢のような1メートルの虫型歩行ロボットhttps://www.gizmodo.jp/2015/01/1_205.html

:Phasmatodea.com ナナフシの世界 http://www.phasmatodea.com/

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Yataka Nobuhiro
初めまして!! Yataka Nobuhiroです。ご訪問頂きありがとうございます。 昭和生まれの60代、横浜北部で生まれ育ち、30~40代は世田谷に移り、 40代後半から現在は八王子に暮らしています。 主に、写真現像の現場に関わってきましたが、撮影のスキルはと言うと ・・・です。 昨年の定年を機会に、ストックフォトサイトへの投稿を始めました。 その中で、「撮る」ことが新しい気付きや出会いに結び付くことを 改めて知りました。 このブログでは、そんな小さな発見を発信していけたらと思っています。 簡単に言うと私のモットーは「犬も歩けば棒に当たる」です。 それが「一期一会」になることを祈って・・・。 最近は「数打ちゃ当たる」になってしまっていますが・・・。 デジタル様様です。 よくある写真ばかりですが、何かのお役に立てれば幸いです。 どうぞ宜しくお願い致します。