前回の投稿から随分時間が経ってしまいました・・・。少しずつまた記事をアップ出来ればと思っています。
6月頃から、道端に小さな赤紫色のつぼみを見かけます。金平糖を思い起こさせるつぼみから花を咲かせるこの植物。小さいけれどとてもフォトジェニックで、以前からずっと気にはなっていたのですが、その名前がようやく分かりました。
その名は「ミゾソバ」です。
ミゾソバ(溝蕎麦)はタデ科タデ属に分類される一年生草本植物です。ウシノヒタイ(牛の額)という呼び名もあるそうです。
土方歳三が行商していた「石田散薬」の原料はミゾソバ(牛革草)
実はこの「ミゾソバ」はあの新選組副長の土方歳三が若い頃行商していた、家伝薬の原料なのだそうです。「石田散薬」というこの薬は、武州武蔵野国多摩郡石田村(現東京都日野市石田)にあった土方歳三の生家が製造・販売していた薬で、薬事法が改正(1948年・昭和23年)されるまで約250年間製造・販売されていた薬です。
石田散薬の原料は、石田村を流れる「浅川」に生えるミゾソバ(牛革草)を土用の丑の日に村人総出で刈り取ったもののみを使ったとされています。その製法は、刈り取ったミゾソバを天日で乾燥させた後、黒焼きにして酒を散布し、再び乾燥させた後粉末にするというものです。
その服用法は変わっていて、熱燗の日本酒で飲むというものです。打ち身、捻挫、筋肉痛、関節痛、切り傷などに効くとされていたようですが、真偽のほどは分かりません。ただ、当時から愛用者が相当数あったことは確かなようです。
日野市では以前、東京薬科大学の監修のもと、「石田散薬再現プロジェクト」を行い、ミゾソバの刈り取りから石田散薬の製造工程を体験出来るイベントを開催した事があったようです。
様々な表情を見せてくれるフォトジェニックなミゾソバ
このミゾソバ、初夏から秋にかけて道端や川沿いに、その小さなつぼみを沢山見ることが出来ます。その色は基本は薄いピンク色ですが、白に近いもの、紫が強いもの、赤みが強いもの様々です。開花の時期は初夏から秋と長いです。私は散歩を兼ねて写真を撮るのですが、川沿い、田畑の近く、里山の道端など様々な場所で日常的に見かけます。
初夏の頃に比べると、秋のミゾソバの花は大きく花の数も多いようです。特に川の流れに面したところでは群落のようになっている場所もあります。初夏のつぼみは固く、なかなか開いている花に出会いませんが、9月を過ぎると先端にいくつもの花を咲かせているものを見ることが出来ます。今年の10月は気温が高いので、もうしばらくミゾソバの花の色々な表情を楽しめそうです。
≪参照≫
- 一般社団法人北多摩薬剤師会 新撰組と薬剤師 石田散薬 https://www.tpa-kitatama.jp/shinsengumi/index.html
- 土方歳三資料館 https://www.hijikata-toshizo.jp/
- 土方歳三資料館日記「石田散薬を作ってみよう!」 https://ameblo.jp/hogyoku/entry-10044798849.html
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